あぁ…。
何とかなんないかな、これ。
警察とか来ないかな。
コンビニの定員さん、助けに来てくれないかな。
すると、一人の男があたしに近づいてきた。
そいつは見覚えの良くあるやつで。
前の学校の同じクラスで、一番権力を持った男子だった。
「よぉ、莉々香?久しぶりだなぁー?」
知ってる顔が話しかけてきたことには少しホッとするが、こんな状況で安心なんてできるはずはない。
「…久しぶりぃ。元気ぃ?」
一生懸命に顔を作って、できるだけ甘い声を出す。
そんなあたしの偽りに、男が顔を少しだけ緩めて呼吸を一つ落とした。
「元気元気~。でも莉々香いなくって最近暇なのなんの」
「えー、最近ってまだあたし、新しい学校に通い始めて2日も経ってないかもなのにぃ」
多くの視線に見られてる中、会話をすることはかなりシビアだ。
そんな中でげらげら笑ってる男に対して少し尊敬。
「え?莉々香すんげぇ楽しそーじゃね?聖龍のやつらと遊んでんだろ?」
…………尊敬してる場合じゃなかったわ。
マジでか。
あたし、それの弁解結構頑張ったつもりなのに。
てか笑いながら言ってるけど、あたしこの男には否定のメール結構送った気がする。
「えぇ?なにそれぇ。あたし、違うって言わなかったっけ?」
「あ?あぁ、あのメールかぁ~。信じれるわけなくね?ここに集まってるやつら、みんな信じてねーし、ちょい莉々香に怒ってんの」
は。
「だぁかぁらぁっ!違うってぇ!」
表情が崩れないようにけらけらと笑う。
なんだ、一体。
んなもん、あたしが怒りたいわ!
「嘘つくなって、なぁ?」
男から視線をその後ろにずらすと、明らかに先ほどよりも人が増えている。
待って、なんでこんな人数増えてくるの。
あたし、こんなに遊んでんの?
でも先ほどとは違い、空気が少しざわざわとしている。
どうやらコンビニの駐車場にチャライ奴ら何十人か集まっているというカオスな状況に、やじ馬が集まってるらしい。
野次馬、どうか警察呼んでください。
あたし、なにされるかわかりません。
……コンビニさえまともにいけないのか。
「えぇ、嘘だと思ってんのぉ?あたしの言うこと信じらんない?」
目の前の男ではなく、後ろのその他大勢に向って首をコテンと傾げる。
するとヘラリと崩される表情。
「……もう、信じてもらえないし酷いことされるなら……もうあたしみんなと会わないからぁっ」
そしてそう言い切りバっと目の前の男に顔を向ける。
どうだ、効け。
頭の弱い奴になら効果抜群のはず。
「……………………り、莉々香がそう言うのなら」
効果、あり。
あたしはにっこりとほほ笑んだ。
「ありがとぉ。ならあたし、帰るねぇ」
顔を真っ赤にさせている男に手を振って歩き出す。
顔はいいのに、何かすべてが残念に思えるこいつら。
てかこれ、それなりのイケメン集団じゃね?


