自分の部屋を探すのは諦めて、一階を探すことにした。






掃除の業者の人がたまに来てるから、もしかしたらどこか移動しちゃった…?






そんなことを思いながらもリビングへと降りて見まわす。






……いつ見ても広いスペース。






あたしはこの家では、自分の部屋からほとんど動かない。






あたしの部屋は結構広いからテレビも置いてあるし、ミニ冷蔵庫も最近置いた。






ご飯とか化粧とか、自分の部屋を汚しそうなことだけリビングを使う。






以前自分の部屋に飲んでいたジュースをぶちまけ、化粧水をぶちまけ、グロスをぶちまけてしまった過去がある。





業者の人が綺麗にシミとかとってくれてたけど。






これ以上はもう自分の部屋を汚したくはない。





無駄に広い場所に、無駄にデカいソファー。





こんなとこに一人でいたら寂しすぎるし……なんか幽霊とかでそうで無理。






まぁそれにリビングからはこれまた広いキッチンもオープンに見えるから更に寂しくなる感じがする。







この家は、家庭的すぎる。






「あー、やなこと思った」






このまま一人で考えたら時間が過ぎる。





ちゃんと探そう。





あとで手に貼るシップと包帯探さなきゃだし。







ローテーブルの下には、物が少しおけるように棚みたいになっている。





そこを見れば……。






「あった!」






見覚えのあるポーチを見つけた。






それを取って開けると、思った通りに乱雑に入れられているメイク道具の中に細い筒状のコンシーラーを見つけた。





それを取って、鏡で首筋をなんとか映しだし塗る。




……よし、隠れた。







一瞬手首にもファンデーションを塗ってしまおうかと考えたけど、それは無謀すぎた。






まだドライヤーで乾かしていない、びちょびちょの髪をポーチの中に入っていたゴムでくくる。







次は……湿布。






「待って、湿布なんて…なくない?」







今思った。






あたし、湿布なんて使った記憶ないし。





美奈さんが湿布を貼ったら治りが早くなるって言ってたし、それに包帯巻いておけば剥がれにくいって言ってたけど…。






包帯とか何。






「あ、そう言えば…」







……いつか、お手伝いさんがいたころは色々買ってた気がする。






風邪薬とか、救急箱に入ってた記憶がある。





救急箱の存在を思い出し、リビングを見渡すけど、ない。






ならば、と思いキッチンへと足を踏み込む。





ここには水を飲みに来るか、冷蔵庫を使うしかしたことがない。






料理なんてあたしは全然できない。






「……ここになかったらどこ探そう…」





お手伝いさんが一番良く使っていた場所が、ここだ。






ここ以外全く分かんない。







そしてよく探してみると…。






十字架のマークが入った箱があった。







………良かったぁ。








ほっとその箱の存在に一安心して、中を開ける。





ツーンとした匂いがする。





……でもこの匂いは案外、嫌いじゃない。








なんてことを思いながらも中をごそごそと掻きまわす。






すると湿布を発見。





ご丁寧に包帯まであった。






左手に貼るのでそこまで苦労せずに湿布は貼れる。







……でも包帯ってどうやって巻くの?