~D*A doll~






すると諷都君は盛大にため息を吐いて。







「……参ったな」







そいポツリと呟いた。






「……ねーね、諷都君?」






あたしがそう諷都君に問うと。






困った顔をして諷都君はあたしを見た。







それを狙ってキスしようと身を乗り上げるけど…。








「…だめ」






軽く元の位置に押し戻されてしまった。








「えぇ…。諷都君のけちぃ」








ブスっと可愛く頬をふくらましてみる。






すると、少なからず効果はあったようで。






諷都君は苦虫を噛み潰したような顔であたしを見つめた。







「キスぐらいいいでしょ…?」







コテン、と顔を傾け可愛らしさを前面に押し出す。






自分の魅せ方ぐらい、いくらでも知ってる。





すると諷都君はさらに溜息を吐いて。







「キスしたら止まんなくなるから」






……それでも、いいのに。








女のあたしはよくて、男の諷都君が拒むという話も変わったものだ。







「別に良いよ…。ヤろ?」






そう言えば、諷都君もさすがに限界が来たようで。






あたしの首元に顔をうずめた。





諷都君の髪が当たってくすぐったい。





そしてピりっという痛みが首筋を走る。






「……っぁ」








あたしの声に諷都君はがばっと起き上がって。







「…無理だ。シャワー浴びてくる」







「……は?」







あたしの上からどけて、この部屋についている何かの扉をバッと開いてドガっと閉めた。








「……え、放置プレイ?」







……嘘でしょ?







絶対に諷都君を欲情させた自信あるのに。






根拠のない自信を裏切られた感満載で、フテてしまう。






……諷都君の鎖骨と腹筋、また触らせてもらおう。






ここからかすかにシャワーの音が聞こえる。






一瞬シャワールームに乗り込んでやろうか、なんてことを考えたがもうやめた。







これ以上しつこくやると本気で嫌われて顔すら合わせてくれなくなりそう。







そうなれば2度とあの体を拝めない。






今後の機会に賭けることにして、あたしはスウェットを着て諷都君の部屋から出た。








……やっぱりあたしはちょっと頭がおかしいな。