「いやいや…。お前、酔いすぎだろ?さっきまで何でキスなんかしたのかって後悔してたくせに…。開き直ってんじゃねーよ。」







「…俺、そんな酔ってるぅー?」






頭がぼんやりとして、何を考えているのか、何を晃に向けて話しているのかも理解できていない。





「泥酔状態。てか、いつもの何倍飲んでんの?今飲んでるやつも…強い酒だろ?」






グラスを回すと、中に入っている氷がカラカラと良い音をたてる。





そしてそのまま一気に残りの酒を飲みほす。







「マスタぁー。もう一杯ちょーーだい。」






そして空のグラスをカウンターの向こう側にいるマスターに押し付ける。





「咲哉…。もうやめとけ。明日の二日酔いがやべーぞ?授業もあるんだし。って…お前、莉々ちゃんの担任だろうが。」






「担任ーー?……なら関わりが切れねーじゃん。おい、晃ーーー。どうしてくれんだよーーー!もう、今日は飲んで飲んで潰れる……。」







「もう潰れてんだろ。」






「…まだいける。もっと飲まないと、痛みは取れねーんだよ。泣きそうなんだよ………。」






「…咲哉…?お前…。まさか…。莉々ちゃんの事…。」






「………晃の、ばーか。龍翔のばーか。莉々香の…ばーか。別に、龍翔じゃなくてもいいだろ?俺にしとけば…、俺に……。」





「…………咲哉…お前…。冗談だろ??って、寝たし…。」







俺は、ここで意識を失っていた。




晃の言葉を聞かずに。





「咲哉…。莉々ちゃんはやめとけよ。本気で莉々ちゃんが……龍翔じゃなくてお前に惚れる。そうなれば……分かるよな?莉々ちゃんは咲哉に__を求めているだけなんだから。お前に姿を重ねて愛されたいと願っているだけなんだから。咲哉…咲哉だけはダメなんだよ。」