「…え?な、んで…?」
咲哉君の姿を見てうろたえる。
咲哉君…?
何で、ここに…。
すると或斗が「莉々香」と耳元であたしの名前を呼んだ。
咄嗟に我に返る。
でも、咲哉君から目が離せない。
何で……。
あれだけ傷ついたはずなのに、咲哉君をいざ目の前にすると愛おしさが本当にこみ上げて来て。
一筋の涙が、あたしの頬を伝った。
……ヤダ。
あたし何で泣いてるの?
もう、これ以上あたしの心をかき乱さないでよ。
咲哉君…。
咲哉君から目をそらし、龍翔やチビの方を見る。
3人が、そこに唖然として立っていた。
龍翔は無表情だけど、チビは悲しそうに顔を歪ませている。
……何なのよ。
あたしに一気に罪悪感が降りかかる。
動揺しているあたしに或斗はもう一度「莉々香」とあたしの名前を呼んで。
あたしの頬にキスをした。