その言葉でこいつは何かが変わったようだ。
目が……さっきとは違い怒りに満ちた目をしている。
「……そうだね。キミは、僕が憎むべき存在の女なんだ…。だから…だから…」
“キミを滅茶苦茶に壊すんだ”
………それで、いい。
早く、早く……あたしに温もりを与えてよ?
……本当にあたしは愚かな女だ。
そんなことを分かっていても、この行為はやめられない。
この瞬間だけ全てを忘れることが出来るの。
他人の冷たい視線を、
自分の孤独さを。
そして、あたしの首筋にこいつが顔を近づけたとき……。
ドーーーーーーーーーンッ
と大きな音がした。
一瞬、こいつの動きが止まる。
そして、バタバタと足音が響き、扉の外で誰かが叫ぶ。
「総長ッ!せ、聖龍が…!!」
………聖龍…!?
何で…。
何、しにきたのよ。
こいつはあたしの上に跨ったまま指示を出す。
「人数は!?」
「…100人程かと…。」
…100人も?
ありえない。
もう、早く帰って。
これ以上あたしの邪魔をしないで。
「こっちは500人だ。少しの間時間稼ぎをしろ。僕はもう少ししていく。絶対地下には近づけるな。ここの存在を隠し通せ。指示したとおりに…武器を使ってもいい」
「は、はいっ!!」
そして、ばたばたと足音が遠ざかって行った。


