そしてそのままボーっとしていると……、
ガチャリ
と、扉が開く音がした。
その扉の方を見ると、ゆっくりと開いていく。
そこから出てきたのは…。
「………え?」
あいつではなく、女の人だった。
女の人は真っ直ぐにあたしのもとへとやってくる。
そして、あたしに向かって微笑んできた。
「目は覚めた?ゴメンね…。或斗(あると)が乱暴したみたいで。手、治療するから。」
……この人、誰?
「あぁ。ごめんなさいね?自己紹介がまだだったわ。私は美奈(みな)。或斗って言うのは…あなたをここに連れてきた人。それでここは、毒牙って言う暴走族の倉庫よ?」
優しい口調であたしに話しかける女の人。
……或斗?
毒牙…?
そんなの知らない。
でもここは、やっぱり暴走族の倉庫なんだ。
そのことだけが理解できる。
「……そ、う…ですか。」
あのイカレタ男とは違い、この人…美奈という人は優しさがある。
柔らかい笑みを浮かべ、雰囲気が本当に穏やかな美人だ。
「あなたは……莉々香ちゃんって言うのよね?莉々香ちゃんって呼んでもいいかしら?私の事は美奈って呼んでくれればいいから。」
「美奈さん………?」
あたしがそう呼ぶと、美奈さんは嬉しそうにまた微笑んで。
そして、ベッドにギシッと腰掛けあたしの腕の手当てをしてくれた。


