雅はまだ言葉をつづける。





「それに、諷都だって意地を張ってるだけですよ。諷都…いつか男と歩いていたあの子を叱ったそうじゃないですか?それ、本心でしょう?龍翔に言われたから止めたんじゃなく、諷都が自分から行動した。諷都は…そんな女と関わることすら嫌いでしたよね?なのに、あの子には声をかけた。何かあの子に対して思ったんじゃないですか?だから、嫌っているふりをする。本当は今すぐにでもあの子を救てあげたいのに。諷都の場合はもっと物事を単純に考えてください。考えすぎだ。瑞希のように思ったまま行動すればいいですよ。」






雅の言葉に龍翔が満足そうに笑う。






雅が言っているのは学校の廊下での出来事だろう。






確かに俺は龍翔の指示ではなく自分の意志で行動した。






気づいたら、莉々香ちゃんの腕をつかんでいてしまった。






……何で?






何で俺が…。






今更ながらに疑問に思う。





放っておけば良かったのに、わざわざ自分から関わった。






何で…。