………大切な人、か。
そんな存在にあたしがなれるわけがないじゃない。
諷都君だって、メガネだって、チビだって……あたしなんかを認めてない。
龍翔が言ったから、ただ反対できなくて“仕方なく”認めている振りをしているだけ。
賛成なんてするわけないじゃない。
だってあたしだもの。
大っ嫌いな存在である女をわざわざ大切になんてしない。
「莉々香ちゃん……?」
「……ううん?何でもないやぁ。悪いけど、あたしは姫とか遠慮しとく。」
空気が一瞬にして凍る。
「……え?何で断るの?莉々香ちゃん、姫にならないと危険な目に会っちゃうんだよ?」
危険な目か……。
もうなんだっていいや。
「別に、いいよ。何でも。殺されてもいいし。」
これは本音。


