遼がいなくなってもあたしの震えは止まらない。
本当に最悪……。
何であたしばっかこんな思いをしないといけないの?
「……莉々香、落ち着け」
何で、あたしだけ?
なんであたしの父親があいつ?
なんであたしの母親はいないの?
なんで何もしてないのに嫌われなきゃいけないの?
周りの女なんてみんな呑気じゃん。
……何で。
遼だって男だし、自由にしてるんでしょ?
あたしだけ、どうして苦しむ必要があるの?
「おい。莉々香!!」
龍翔の大きな声で我に返る。
「龍翔……あたし…これから、どうなるんだろう…。あたし…」
どうしようもない感情を言葉に表そうとする。
それでも、うまく言葉にならない。
「莉々香。大丈夫だ。俺らが何とかしてやる」
『大丈夫』
この言葉をあたしはずっと……待ち望んでいたのかもしれない。
ずっと誰からも言われなかった言葉。
「あた、し…ホントに大丈夫?あたしの存在価値ってあるの……?」
そっと龍翔の顔を見ながら言う。


