「いいことがあるとか、そういう問題じゃないでしょう? わたしはただ、覚えていたいのよ。」 「なんで覚えていたいんだよ、それでお前はどうしたいんだよ。」 千樫の言葉はだんだんに力を帯びてきた。 わたしも自分の頬と耳たぶが熱くなるのがわかった。 おまたせしました、と料理が運ばれてきて 千樫は大きく息をついた。 「やめよう、こんな話。 いいか、忘れるんだ。」