「おはよう。」
「おはよう、朝からどうかした?」
薄い毛布を蹴ってわたしはベッドからはいでた。
フローリングはひんやり冷たくて
体のしんはまだ暖かいような気がして
変な感じだった。
「特にどうってわけじゃないけど、なんか声変だな。」
「寝起きだからよ。」
「また、夢をみた?」
湯沸かしのケトルに水を入れる手がとまる。
千樫はなんでもお見通しか。
「夢くらいみるわよ、わたしだって」
なんにも知らんぷりをして返す。
わたしの声は動揺していないだろうか。
「怖い夢をみるなら、しばらくうちに泊まりにくればいいじゃないか。」