譲はたぶん、わたしが最近2人のことを意図的に避けていることがわかっていた。
講義が重ならない日でもわたしの様子を毎日みにきてくれた。
千樫はバイトに追われていて、それを言い訳に会わないでも済んだ。
ぼーっと大学の図書館までの道のりを歩いていると、ばったり譲にあった。
「伊澄、起きてる? 目が変な方いってたよ」
力なく笑って譲に答える。
「図書館にいこうと思って。 レポートが終わらなくて寝不足なだけよ。」
そんな嘘を譲についても仕方がなかった。
「お前はいくら寝てなくてもばかみたいに元気じゃん。」
「あ、ばかにしてるんでしょ? わたしはもう来月で二十歳よ。 多少歳もとって体力も衰えてきたのよ。」
譲と話していても
結伊の影はちらついていた。
譲にはそれがわかっていたのかもしれない。
「わたしはもう大人になるのよ。」
わたしは声に出してそう自分にいった。
譲も図書館についてくると言った。
なにか話がありそうだった。
でもわたしはそれには気づかないふりをした。

