目的地に到着して、車を降りると 潮の匂いがこびりついた風がわたしの髪をさらっていった。 結伊の家は波の音がこんなにはっきり聞こえるくらい近くのようだった。 この土地だけ早く夏が来てしまったような日差しだった。 「紙見せて。」 譲に紙を手渡すと、わたしたちは譲を先頭に 海に面したこの家の玄関に並んだ。 小さな小さな人の気配のない平屋だ。