嘘の愛を口にする【完】



結局


ちゃんと話せなかった…


あたしがベットに座り頭を抱えていると


ガチャ


寝室の扉が開かれた。


そこには、さっきリビングにいた弘樹が立っていて


弘樹の立っている隙間からは電気の光が暗闇の寝室を少し照らした。


「美織」


「……」


「ここは陸がいるから、リビング来い」


「……」


「美織」


「……」


あたしは決心して黙って立つとリビングへ向かった。


やっぱり


弘樹からは逃げられないか…


あたしの考えてることなんてほとんど分かってるって思ってるような顔して…


自分だけ余裕で


羨ましい


「で?さっきの何?」


ソファにお互い向かい合いながら話す

弘樹は当然不機嫌な声をしていて


「いや、謝罪の言葉…」


「何で?何か悪いことしたの?」


その言葉が出た時


脳のどこかの線が切れた


悪いこと


そんなのしてるの自分のくせに


「よく言うよ…」


「美織?」


「わ、悪いことって、1番悪いことしてるのは自分でしょっ?」


「な、にいって…」


「今更とぼけても無駄だよ、見たもん、知ってたもん」


「何をだよ」


「弘樹は……浮気してるんでしょ?」



「は?」


「男の人は誰でも一回はするって分かってたからしょうがないって思ってた…」


「……」



「でも、何回もされると正直辛いや…」


笑え

泣くな

引きつっててもいいから

笑わなきゃ

「でも、しょうがないよね、自分に魅力がないから…自分が弘樹好みの女の子になれなかったから違う人の所に行っちゃうんだもんね」


「美織…おま「いいよ、別に…遅い時間に帰ってくるのはもぉ慣れたし!」


「弘樹も、あたしといるより他の女の人といたほうが楽しいんじゃない?仕事で疲れても癒やされるでしょ?」


「美織っ…「知ってるから、分かってるから」


「無理しなくていいよ、一々演技しなくていいからさ!やっぱあれなのかな?出会うべきじゃかったのかな?子供もちゃんと考えた方がよかったのかもね!
先走りすぎたね!大丈夫!陸はちゃんと育てるしっ…」


我慢できなかったのか

自然と涙が頬を濡らしてた


「ご、ごめんね、泣き虫で…ごめんなさいっ」


弘樹はそっと立ち上がった

これで終わりなんだと


そう思ってた


でも


ギュッ


あたしの頭を自分の肩にのせ

抱きしめてくれた


嬉しいけど


やっぱりラズベリーの香りがした。


「いいよ、弘樹…離して」


「やだ」


「離して」


「離さない」


「香水の香りがした人に抱きしめられても嬉しくないっ!!」


声をあげて言っても弘樹は離してくれなかった


どうして


弘樹の考えがわからない…