…僕はいつも一人だった

「お前は、──家の恥晒しだ」
「あんたなんていらない」
「お前が男だったら良かったのに」
「俺に指図するな」

ベンチに腰掛けている僕の間を
少し冷たい風が過ぎ去っていく


「……ハァ」
家に帰りたくない……



僕の家は、僕の存在を許さない家……
だから、僕は学校が終わり
学校から帰る途中で、
文化祭でも使ったウィッグと
剣道部に籍だけ置いている為、
道着で変えることが許されているから
道着に着替え(男装)して帰っている……


アイツと同じ容姿…それが唯一の
存在を示す方法─

こうしないと、誰も僕を
見てくれなくなるから───