桜の木の下で-約束編ー




『私をコロシテ』


咲の切なる願いに逆らえず、
自らの鬼狩の剣を、咲の体内へと突き刺した。

皮膚を貫き、
肉を断つ感触がボクに押し寄せる。

その感触を理解した途端、
ボクの中のもう一つの大切な何かが
崩れるように墜ちて行った。


遠ざかりそうになる
ボク自身の意識にあがなう様に、
咲を必死に抱きしめながら、
唇を噛みしめて見つめる。




今のボクを守護するのは、
蒼龍の加護。


蒼龍の庇護を受けるボクの気には、
神気が混ざる。


最初で最後のかけ。



神気を宿した
鬼狩の剣で最愛の咲を突き刺す。


失敗すれば咲は息絶え、
成功すれば……、その鬼狩が引き金となって
龍神の加護を受けられれば、
咲は助けられるかもしれない。



「和鬼、お前」


咲と二人、いろんな場所に移りながら
向かい合い続けた。

そしてこの場所にようやく辿り着いた珠鬼は
今の現状を見つめて小さく呟いた。



「珠鬼……大丈夫だよ。

 ボクにはもう桜鬼神として存在できる力は残ってないから」



咲を見つめながらゆっくりと紡いだボクに
珠鬼は深刻な顔をしながら近づいた。



「和鬼、まさか」



珠鬼はボクに駆け寄って、
躊躇う【ためらう】ことなくボクの袖をめくっていく。





肌が黒ずんで闇色に染まり続けるボクの体。