プリンセス×プリンス




「じゃあ僕、ちょっと打ち合わせしてくるから、軽く挨拶しておいてよ。色々なシーンもあるからね」


 監督さんは、ひらりと右手を上げると、行ってしまった。



 ・・・色々なシーン?



 どんなシーンなのかな?



「・・・なぁ」



「ん?どうしたの?」



「お前、本当に花林?」



「え?そうよ?」



 何を言い出すんだ、この子は。



「あのさぁ、俺を馬鹿にしてんのか?」



 ・・・はい?



 キャラ、変わってませんか?



「こんな地味女が花林なわけないだろ?あの監督をだませたから、天狗になってんのか?」



「ど、どう意味でしょうか・・・?」



「だーかーら。・・・あぁ、こんなこともわかんねぇ馬鹿なのか。こんな奴の相手役なんて、正直言ってやってられねぇな」



 ・・・私、散々けなされてませんか?



「社長の頼みでやっているけどさ。・・・あーあ、だりぃなぁ・・・」