「あたしは自己紹介したわよ。あなたもしなさい。未来の義弟(おとうと)なんだから」



 何かこの人、やけに上から目線だな。



「東堂朝太です。東堂グループの次男です。母は遥華テレビの社長をしています。
1番上の兄が、東堂グループをついで、姉が遥華テレビを継ぎます」



「知っているわよ。東堂グループは。昔からの決まりで、跡取りではない人は縁を切られるって」



「・・・よくご存知で」



「まぁね。あたしは、演技派美人大女優・美鈴だから、これぐらいはちゃちゃっと調べられるわよ」



 凄いな、花鈴のお姉さんは。



「花鈴のこと、お願いするわね。あたしの二の舞にならないように、あなたも注意しなさい」



 二の舞?



「もしかしてあなた、知らないの?あたしの事件」



 美鈴さんの事件?



「あれは、あたしが中学生の頃・・・」



 俺は美鈴さんの事件を聞いた。



 あまりにも残虐な事件だった。



「この間、花鈴、襲われたでしょう?」



「・・・知っていたんですか」