「・・・何泣いているんだよ」
えっ・・・?
私、泣いていたの?
自分の頬に触れると、確かに濡れていた。
「泣くなって。俺はもう慣れたし」
ニコッと笑う東堂が、凄く切なく見えた。
「慣れたなんて・・・。ひどいこと言わないでよ・・・っ。何で・・・何で慣れちゃったのっ・・・!」
私は嗚咽を上げながら泣いた。
私の家族は、基本忙しい。
でも、年に1回会えるかどうかなんてことはない。
それなのにっ・・・!
東堂は家族と会えないなんて。
昔からの、決まりのせいで!
「・・・おいで」
両手を広げた東堂の胸に、私は抱きついた。
そして、子どものように泣きじゃくった。
こんなに泣いたのは、いつぶりだろう。


