結局、その日の授業は幕を閉じた。


 帰ったら、お姉ちゃんに教えてもらおうっと。


 めっちゃ、怒られるだろうけど。



 職員室を出ると、右から何かがぶつかってきた。


「花鈴!」


 高音のアニメに出てきそうな声。

   
 顔を見なくてもわかる。


「ちーちゃん・・・」


「お勉強、お疲れ様ーっ」


「どうもありがとう」


「心がこもってないよー!
それよりさ、どうだった?東堂くんは」


「別に、いつも通りだよ?
ちーちゃんの噂通りの人とは思えないんだけど」


「千海の噂は100発100中の確率で当たるんだよ!?
絶対、伝説のヤンキーだよ!」


「眼鏡ってだけで伝説のヤンキーにしたら、
私も伝説のヤンキーになっちゃうよ」


「花鈴のその恰好は、たしかに元ヤンっぽいよねー。
でも、花鈴はしょうがないよねー」


 ちーちゃんは私のこの格好の理由を知っている

 数少ない人。


「ところで花鈴、時間大丈夫?
もうお昼の1時だけど」


 何ですと―――――――――――――!?