「花鈴が襲われている現場に、偶然帰る途中の私の友達が通ってね。怖くて逃げたらしいんだけど、後で考えてみると、花鈴ちゃんじゃないかって思って、あたしに電話してきたのよ」


 お姉ちゃんに、ばれていたなんて。


 気づかなかったよ。


「本当なの?花鈴」


 黙って、こくりと頷いた。


「何で黙っていたのよ。お母さん、知っているんでしょうね?」



 ・・・知らせてません。


「何で知らせていないのよ!あんた、本物の馬鹿ね」


「・・・お母さんに、迷惑かけたくないもん」


「だからって知らせないの!?また襲われるかもしれないのに?」


「・・・また、迷惑かけちゃうもん。前にも迷惑かけてんのに。2度もかけたくないよ」



「あんた、あたしの二の舞になりたいの!?あたしと、同じ気持ちになりたいの!?」



 お姉ちゃんの、二の舞。




 昔、お姉ちゃんは誘拐された。



 映画でお姉ちゃんとキスを交わした俳優のファンによって。



 1週間も、飲まず食わずの状態で、発見された。



 お姉ちゃんの周りは、見つかった日から


 厳重になった。


 車での送り迎えは当たり前。