プリンセス×プリンス




「花林ちゃん!大丈夫?」

「あ、はい。着替えに戸惑ってしまって。ごめんなさい」


「謝ることないよ。・・・にしても花林ちゃん、可愛いね」


「そうですか?ありがとうございます」


 スタッフさん、お世辞が上手いなぁ。


「あすくくんと並ぶと、本当に、プリンセスとプリンスだね」


「ありがとうございます」


「じゃあ、簡単な自己紹介しようか。因みに僕は、今回監督と脚本をつとめる、伊原堅太(いはら・けんた)です。よろしく」


 この人、お姉ちゃんのドラマも監督と脚本をしていた人だ!


 普段は優しいんだけど、時間と演技には厳しいって。


「じゃあ次は、令嬢・坂本織子(さかもと・おりこ)役の花林ちゃん、自己紹介よろしく」


 わかりました、監督。

「坂本織子役、花林です。演技は小学校の学芸会で村人をやって以来です。皆さんに迷惑かけないよう、頑張ります」


「村人か~」


「花林ちゃん、可愛い~」

 スタッフさんって、本当に、お世辞が上手いなぁ・・・。


 小学校の学芸会で、村人を演じたのは事実。


 でも、台詞は『そんなことないよ~』の


 1つだけ。


 1日で台詞覚えました。


 ・・・当たり前か。