「花林！大丈夫か！？」
「私は大丈夫・・・。でも、どうしてあすくが？」
「お前、泣いていただろ？声が聞こえたんだよ」
「えっ・・・？」
自分の頬に触れると、確かに少し濡れていた。
私、知らないうちに泣いていたんだ・・・。
「俺も帰る途中でさ。そうしたら、お前の嫌って声が聞こえたんだよ。で、気になって来てみたら、あんな状態だったってことだ」
私、嫌なんて言っていたの・・・？
無意識に叫んでいたのかな。
「お前、あいつらに何言われたんだ？」
「・・・あんたのせいよ」
私は痛む足のことを忘れて、立ち上がった。
「あんたがいるから、私はあんな目にあったのよ！どうしてあんたは私の邪魔ばかりするのよ！あんたさえいなければ、私はあんな目に合わなかったわよ！」
「花林・・・？」
「私、やっぱりドラマ断るわ。あんたといると、ろくなことがないから」
「おい！折角俺が助けてやったのに、なんだよその態度！」
「助けてなんて、一言も言っていないわ。余計なお世話だったのよ！」
「ちょっと待てよ！じゃあ、何で泣いたんだよ！」
「あんたに助けてもらいたくて、泣いたんじゃないわ！もう２度と、私の前に現れないでよ！」
私はダッと駈け出した。
その時、一粒の涙が流れたことに、
私は気が付かなかった。
