「わかったよ」


「じゃあ、もう帰りなさい。あたし、花林のマネージャーさんと話してくるから。夜道には気を付けなさい。今、過激なファンが増えているみたいだから」


「はいはい」


 朝美が出て行くと、俺は溜息をついた。


 ・・・何であの花林と出ないといけないんだか。


 まぁ、俺のことを好きにさせるなら、この方が手っ取り早いな。


 俺の完璧な演技で、俺に惚れさせてやるよ。


 あんな地味女、優しくすればイチコロなはず。


 時間はかけなくて済みそうだな。






 マスクに帽子をかぶり、外に出る。


 俺の今いるGスタジオは、花林のいるSスタジオと近い。


 ・・・だから聞こえたんだろう。









 あいつの声が。