私は息を吸い込み、歌い始めた。 歌うのは、最近評判の歌。 ちょっと高めの音域だ。 「いけるよー どこまでもー」 歌い終わった私は、朝太を見た。 その顔といったら。 目をこれでもかというほど見開いて、顎が外れそうなぐらい口をあんぐりと開けている。 なかなか見られないレアな光景だ。 「音痴!」 「へ?」 音痴? そりゃあ音痴ですよ?