「じゃあね。お幸せにね」 手を振って出て行くお姉ちゃん。 「優しいな、美鈴さん」 「どこが?あの欲張りばあさん」 「どこが欲張りなんだ?お金もらわなかったじゃないか」 ・・・あ。確かに。 「日本に戻ったのは、やっぱりたった1人の大切な妹が心配だったからみたいだな」 ・・・お姉ちゃんってば。 素直じゃないんだから。 「おーい。いるんだろー?」 ノックもせずに、誰かが入ってくる。 この声、顔見なくてもわかるや。 こんな生意気そうな声、あまりないもの。