『あの。弟くん、大丈夫?』
『あ?』
『だって、お兄さんのこと呼んでいたし、行かないでって呟いていたし。
・・・しかも、泣いていたよ?』
『気にするな。家族が恋しいんだろ。・・・だからついてくるなって言ったのに』
『家族が恋しい?会えばいいじゃない』
『会えたら泣くはずねぇだろ』
『会わないの?』
『俺は縁を切った。弟はかろうじて家族とつながっている。
なのにこいつは俺についてきたんだ。
こいつは寂しがり屋なんだ。だから恋しいんだろ』
縁を切ったなんて、寂しすぎる。
『ここから先は俺たち家族の問題だ。触れるな』
『・・・はい』
気になったけど、私は部外者。
知れる義務はいない。


