「へぇ・・・お母さんか・・・」


 何・・・?何なの・・・?


 怖いんですけど!


 どんな凶悪犯でも逃げ出すぐらいの怖さだよ!?


 あなた、仮でもモデルでしょう!?


 人に笑顔を届けるのが仕事でしょう!?


 そんなに怖くて良いわけ!?


「・・・じゃあ、また今度ね。
夜道に気を付けて」


 にこっと笑ったあすくさんは、手を振って


 行ってしまった・・・。


 ・・・何、結局何だったの?


 わけわからない人ね・・・。



「花林、何をしているの。帰るわよ」


「あ、はーい」



 私はマネージャーが待たせておいてくれた


 車に乗り込んだ。



「あのチャラいモデルに、何かされたの?」


「何もされていないよ。ただ、ご飯に誘われただけ」


「気を付けなさい、花林。あなたは日本を代表するトップモデルなのよ。
男と付き合っちゃいけないわ。
もし付き合ったら、花林はスキャンダルの格好の獲物よ。
花林の人生に汚点を作るわよ。
いくら仕事で出会ったモデルでも、警戒しなさい」


「わかっているわ。私、男なんて興味ないもの」