プリンセス×プリンス






 まぁ俺は津川なんて痛くも怖くもない。




 俺が怖いのはあの人だから。




「サンキュ、新田。花鈴を見つけたらお前にも連絡するからな」




「待って東堂くん。その恰好で行くの?」





 その恰好?




 俺は俯いた。





 白い無地のTシャツに赤と黒のチェックのパーカー。



 下はデニムのズボン。





 ・・・可笑しいか?この格好。




「彩さんはあすくのファンなんだよ?襲われたりしないの?」




 ああ、そんなことか。




「大丈夫だ。俺に任せておけ」






 俺は再び全力疾走して屋上に向かった。