プリンセス×プリンス





 俺は新田の持つスマホに耳を近づけた。




『さ・・・さむ・・・・』プツッ





 さむ?




 誰だ、それは。




「千海もわからないの。東堂くん心当たりない?」




「さぁ。俺もわかんねぇな。ところで、津川はどこだ?」




「津川って、彩さんのこと?彩さんなら屋上にいるはずだよ?」




「屋上?確か立ち入り禁止のはずじゃねぇの?」




「彩さんの友達ってそういうの気にしないの。
ヘアピンとかで簡単に開いちゃう仕組みみたいだしね。

本当は千海も行ってみたいんだけど、屋上に行くって言うことは
彩さんに喧嘩売っているって言う証拠になっちゃうから、怖くて行けないんだよなー。


東堂くんも知っているだろうけど、彩さんはこの高校で1位2位を争う女王様だから、
千海たち一般人が入っちゃいけないの」





 津川の噂は知っていた。




 だけど、そこまで怖いとはな。