『待ちなさいよ。あんたたち、頭良いのよ？
それを無駄にするつもり？』
『・・・無駄にしたのは、あの人だろ？』
『あの人・・・？もしかして、お母様のこと？』
『あの人が無駄にしなければ、俺も君太もこんなにならなかった。
朝美が俺らに説教することもなかった』
『そうだよ。お兄様がこうなったのは全てあの人のせいだよ。
それはお姉様もわかっているでしょう？』
『・・・確かにお母様は朝太と君太をこんなにしたわ。
でも、それは昔からの決まりを守っただけ。お母様は悪くないわ』
『・・・知っているか、朝美。
あの人は末っ子だったっていうことを』
『え・・・？』
『お兄様とお姉様が俺に言ってきたんだよ。
自分たちが前みたく友達と話せなくなったのは俺のせいだって。
今まで俺がきょうだいの中で一番優秀な跡取りだったということを知った
お兄様とお姉様は、跡取りじゃないって安心していたんだ。
でもいきなりあの人がお祖父様が守らなかった決まりを守ろうなんて
言いだしたから、お兄様とお姉様が今まで手に入れていた“自由”が
俺が跡取りを外されたから失われたんだ。
あの人がそんなことを言わなければ、お兄様とお姉様の“自由”は
存在していたんだ。
全て、俺のせいだって八つ当たりされたよ』
『お姉様、知らなかったでしょう？
お兄様が晴太お兄様と陽奈子お姉様に陰で言われていたって』
『・・・そうだったの・・？』
