プリンセス×プリンス





「大丈夫?今の、お母さんなの?」



「・・・俺はあんな人、母親だと思わない」



 だよね・・・。



 実のお母さんに、あんなひどいこと言われて。



「・・・俺、今日はもう帰るわ」



 「送ろうか?」と言おうとして、やめた。



 さっきマネージャーに会うことを控えるよう言われたばかりだから。




「わかった・・・。気を付けてね?」



「ああ。花鈴も気を付けろよ?」




 弱弱しくしく笑った朝太は荷物をまとめ、楽屋を出て行った。



「花鈴も、帰りなさい。車を回しておくわ」



 マネージャーが出て行って、楽屋には私と朝美さんだけになる。




「朝美さん。朝美さんは、朝太のお母さんが言うほど、悪い人じゃありません。
常に朝太のことを考えてくれる、優しいマネージャーです」



「・・・ありがとう、花鈴ちゃん。優しいのね。朝太もきっとそこに惚れたのね」