「・・・君太、知っていたのか?」
「まぁね。お兄様のこと、色々調べていたからね。
俺も関係のない人間だけど、東堂の人間だから。
東堂の人間だっていえば、どんな人も動かせられる」
凄いんだな、東堂って。
日本が世界に誇る巨大グループとは知っていたけれど、
そこまで凄いとは。
「・・・変わったな、君太も」
「そう?まぁ、お兄様も変わったと思うよ。
・・・というか、東堂の人間は変わるのが当たり前なんだけどね」
「前はそんな嫌味なこと言わなかったよな」
「言わざるを得ない家に生まれた者の宿命だよ、お兄様。
東堂はこの世の全てを知っている人間の宝庫だから。
嬉しさも、希望も、現実も、哀しみも、怒りも、絶望も・・・ね」
ニコッと笑った君太くんの目は、もう何も映していない。
真っ黒な・・・闇だ。


