「おい、かりんとう。こっち来い」 「・・・何よ、強引ね」 腕を強く引っ張られ、連れて来られたのは、君太くんの楽屋。 ・・・私より、広くないですか? 広い鏡に洗面所。 ふんわりとしたソファに、美味しそうなお菓子。 多分あれ、マカロンだ。 「顔洗え」 はい? 「何している。顔洗えって言ってんだろ」 「どうして顔洗うのよ」 「・・・見てみろ、自分の顔をな」 どれどれ? 広い鏡を見てみると。 「・・・え?」 私の小さな目が、少し潤んでいる。 これ・・・涙?