プリンセス×プリンス





 いつしか俺の笑みは、本物になっていた。



 俺の中に感情が出てきた。



 忘れかけていた、いや、



 忘れなくてはいけなかった感情が。





 花鈴といると、本当の俺でいられた。



 生きているって、実感できた。




 ・・・だから、名前を呼んでもらった。




 怒られる時と、女に呼ばれる時にしか



 呼ばれなかった、俺の名前を。



 大事にしたい、と初めて思えた花鈴に呼んでもらったのに。






 ・・・何故、アイツが出てくる。



 ようやく忘れられた、過去の人が。




 何で出てくる。



 アイツは“過去の人”で十分なはずだ。