「ありがとう、夢夏。私渡してくる!」 動かなければ、何も始まらない。 もう出ていってしまった大翔くんの後を追う。 大翔くんと1回だけ席が隣になったことがある。 そのときの私はちょうど部活の大会前で疲れていて、普段は授業中に居眠りなんかしないのに、どうしても眠気に勝てなくて寝てしまった。 そんなときにちょうど数学の問題が当たっちゃって。 何も聞いてなかったから全然わからなくて困っていたら、小さな声で大翔くんが教えてくれた。