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体育館に響く、軽快なリズムと一瞬の静寂。


バッシュが床を擦る擦過音が絶えず聞こえる中で、


一際目立つプレーを繰り出す人物……。


その、誰もが憧れる存在を、一番近くで見ていたはずなのに、


コートに立っているその人は、まるで赤の他人のように遠く感じた。


相手のゴールを阻止する守備力も、


華麗に攻め上がるドリブルも、


ほぼ完璧なシュートも、


何もかも敵わない。


手の届かない存在に思えた。