孝は一心不乱に立ちふさがる敵を次々とかわし、一気にゴールまでの距離を縮めていく。


心臓が激しく脈打つ中、何故か瞳だけは真っ直ぐしっかりとゴールの位置を見据えている。


残り時間は後ほんのわずか。


これを外せばもうチャンスはない。


しかし孝のプレーは堂々と、自信に満ち溢れたように華麗に身体が動いている。


そんな孝が助走を踏み切った瞬間、世界がスローモーションになったかのように見えた。


もう、孝に迷いなどない。


ただひとつ、ゴールだけを見つめている。


しっかりとゴールの位置を捉えた孝が、意を決したように地面を強く蹴り、腕を振り上げる。


全員が息を呑み、孝の手から離れたボールを見つめていた。


そしてそのボールが迷うことなくリングをくぐり抜け、ネットを揺らした瞬間……


孝の首にかかるシルバーのネックレスが、キラリと輝いた―――。





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