海里「あっ……」


記憶と重なるブレーキ音とクラクション、


道路に広がる血……。


あの時の情景が鮮明にフラッシュバックしてくる―――。



『海里』


優しく名前を呼ぶ声。


男らしく安心する温かい手……。


『俺、桜庭を全国に連れていきたいんだ。あいつら、後輩のためにもな』


大きくてたくましい背中……。


『お前らならできる』


強い眼差しと力強い言葉……。


もう少しだったんだ……。


その大きな夢が叶うまで……。


でも……


『お兄ちゃんッ――………‼︎』


『……優…太、さんっ』


その夢はまだ夢のまま――………。