4月。

賢司は見事、彌生と共にF大に合格し、F県へと出発しようとしていた。

まりかは、いつの間にか遥歩が気になり始めたおかげで、望み通り"ヘーキ"になっていた。

そして、卒業祝いに渡すはずだったセーターを渡そうと、工藤家に見送りに来ていた。

『賢にぃ、元気でね!
これ、卒業&合格祝いだよ!

冬物なんだけどさ、まだ肌寒いから…』

『まりか…

…ありがとう』

この時期には売っていない"冬物"という事で、まるで全て気付いたかのように…

優しい瞳で、優しい声で、そして優しく頭を撫でて、感謝を伝える賢司。

そんな賢司に心が満たされる まりか。

(賢にぃを好きになって、良かった。

バイバイ…賢にぃ)