少しの沈黙の後、
『じゃあさ…』
と遥歩が話し始めた。

『代わりに、誕生日祝ってよ』

『…なんの代わり?』

『チョコの代わり』

(なにその自分勝手な提案わ!)

『元カノに祝ってもらえば!』

『…沙夜香のコト?

気になるんだ?』
と、ニヤニヤ笑う遥歩。

『なんないし!』
ムキになって否定するまりか。

『沙夜香と付き合ってたの、一年も前だし。
今は友達だから』

『きーてないし!』

遥歩は構わず続けた、
『まりかに祝ってほしんだけど』


思わずドキッっとする まりか。


『…もぉ。

いーけど、いつだっけ?』

『3月5日!』
と嬉しそうに答える遥歩。

(なんか、遥歩と居るとちょーし狂うな…)

『まりかはいつ?』

『7月13日』

『じゃあ、そん時は俺が祝うから!』

『や、プレゼントだけでいーから!』

そう言うと、遥歩は楽しそうに笑っていた。


降りる駅に着くと、
『戻る電車まだだし、ヒマだから』
と、遥歩は家まで送ってくれた。