悠樹と駅で別れた まりかは、そのまま電車に乗ろうとすると、

『なんでいんの?』
丁度、駅に着いた遥歩が声をかけてきた。

『遥歩!

…カンケーないでしょ』
と、電車に乗り込む。

『俺にはチョコねーの?』
と、遥歩も一緒に乗り込んで来た。

『ちょっと、発車するよ!』

『だから?』
と、笑みを浮かべる遥歩。

まりかは、呆れ顔をして、
『てか、甘いものダメなんでしょ!』
とそっけなく答える。

遥歩は、少し驚いた様子で戸惑う。

それを横目で見て、
『あのケーキ、めっちゃ甘めに作ったのに…
バカなんだから』
と、呟くまりか。

すると遥歩は、
照れくさそうに、軽く下唇を噛んで顔を背けた。

(え…?

あの俺様な遥歩が?
いつも余裕な遥歩が?


なんか…可愛い!)

まりかは口元が緩む。
と同時に心も緩んでいった。

『でも…ありがとね』

まりかが言い終わると、
電車のドアが閉まり、ゆっくりと出発した。