家に入って、
『賢にぃ、今日はよろしくねッ!』
まりかは元気にあいさつする。

『こちらこそ!
じゃあ、行こっか』

二人は家を出ると、見知らぬ女の子が立っていた。


『彌生[やよい]!』


賢司が驚きながら声をかけた。

その子は、どうしようと泣きそうな顔をして、立ち去ろうとした。

『待って、彌生!』

とっさに賢司は追いかけて、彌生の手を取り引き止めた。

『ごめ…ごめん、賢司。
もう、新しい彼女いたんだね…
突然、邪魔しちゃったよね…
ごめん』

泣きながらそう言って、手をほどこうとする。

『…いないよ!
あの子は幼馴染なんだ!
妹みたいなもんなんだ!』



まりかは茫然と立ち尽くす。



賢司の声で外に出てきた悠樹は、その状況を見て言葉をなくす。