『おい、さっきから!
お前も少しは歌えよ』
と遥歩が悠樹に催促する。

『だから、俺は いーって!
歌苦手だし…』

『じゃあなんで、カラオケにしたんだ?』
悠樹の答えに賢司が尋ねる。

『それは…』

(カラオケだと…
一緒に歌ったり、
近付いて一緒に曲選んだり、
スキンシップもしやすいかなって…

まりかが自然に賢兄と、距離縮められる
よーにって…なんて言えねーし!)

『ちょっとは練習しよーと思って…』

『じゃあ歌えよ!』
と遥歩は吹き出すように笑う。

『悠樹!じゃあ一緒に歌おーよ!』
と、まりかがマイクを渡してきた。


悠樹は少し驚いたふうで、そのままうつむいた。

(まりか…なんでそんな優しんだよ!
マジ、切ねーし…)