その後の会話は、ほとんど悠樹の頭に入らなかった。

ほどなくして、まりかの家に着く。

『じゃあ、ここだから!
ありがとねっ!』

『うん…じゃ…』

そのまま行ってしまう悠樹を見ながら、

(なんなの?急に…

もしかして!
賢にぃにカノジョいるから、気まずかったのかな!?)
と勘違いのまりか。


悠樹は、かなりのショックを受けていた。

賢司の事が好きというのもショックだが、何よりも、自分が全くの対象外という現実に傷ついていた。

(俺にとっては、まりかが特別で…
でも まりかにとっては、賢兄が特別で。

あの頃からすでに対象外だったんだな。

バカみたいだ、俺…
まりかに近づけたと思って浮かれて。

…心はこんなに遠かったんだな。)