その週末。

悠樹が部活から帰ってくると、遥歩が出かけようとしていた。

『兄貴、出掛けんの?』

『あぁ、まりかとカラオケ行ってくる』

『はあッッ!?

なんでっ…』

悠樹の問いを遮って、
『じゃーな!』
と勝ち誇った笑みを浮かべて立ち去る遥歩。


悠樹は玄関に座り込む。

(なんだよ、それ…いつのまに…

賢兄といい、兄貴といい、なんでそんな
まりかと近い距離なんだよ!

…俺が まりかの一番近くに居たいのに)

切ない気持ちと、不安な思いでいっぱいの悠樹だった。