『…なんか…言えよ』

言ってしまうと…
自分が勝手に選んだ人生に、遥歩を巻き込みそうで…
ただ首を横に振った。

頑なな沙夜香に、

『お腹の子…

ほんとは俺の子なんだろ?』

沙夜香は驚いて、遥歩を見つめた。

『卒業前…
お前、初めて俺にワガママゆったよな?

俺が まりかの事好きなのわかってて、
それでも、"最後だから"って…

あん時、ピル飲んでるからって、
アレ、嘘なんだろ?』


沙夜香は、やっと重い口を開いた。

『…ごめん。



私…
遥歩のコト、ずっと本気だった…
壊れそうなくらい、大好きだった。

もし、たった一度のチャンスで叶うんだったら…
好きな人の子どもを一人で守ってくつもりだった。

遥歩を巻き込むつもりはないから…
この前、病院前で会った時には適当に嘘ついた…』

頬に涙を伝わせながらも、淡々と話す
沙夜香。