『ぜんぜん…

気づかなかった…』

そう呟きながら、切なさと嬉しさが、
込み上げてくる。

(私…

いつもこんな風に守られてたのかな…)

希子は、そんな まりかを見ながら、

『まりか、遥歩くんの事は好きだったよね?
じゃあ、悠樹くんの事はどう思う?
好きって思える?』

まりかは少し考え込むようにして、

『わかんないよ…』
と、目を伏せる。

『じゃあ、まりかが心を許せるのは…
信用出来るのは、どっち?』

『…そんなの、考えたコトもないよ』

希子は、微笑みながら溜息をつくと、

『遥歩くんは、いい加減そうで、ちゃんとしてるんじゃない?

逆に悠樹くんは、いいヤツそうで、裏では最悪かもよ?』

と、わざと試す事を言った。

『ありえないよ!
悠樹はそんなヤツじゃないから!』

そう答えて、ハッとする まりか。

(私、悠樹のコト…

めっちゃ信用してるんだ…!)