立ち止まって、スカートの裾をぐっと握りしめて。 すうっと深呼吸をした。 「あのね、あたし、涼介のこと好きだった。」 あたし達の間に風が吹いた。 ああ。言ってしまった。 キミの困った顔は見たくなかったのに。 いつだって、笑顔でいてほしかったのに。 意志が弱いなあ。 涼介は驚いた表情をする。 「過去形、なの?もう好きじゃないの?」 「え?」 「俺は、なつのこと好きだよ。過去形なんかじゃない。」